高校無償化について・・考える。

まずは、毎日jpの記事から・・制度を確認する。高校授業料無償化法は4月31日成立、子ども手当とともに新年度からスタート。家庭の状況にかかわらず、安心して勉強できる社会作りを目指して導入としている。また、経済協力開発機構OECD)加盟30カ国中26カ国が無償化しており、日本もようやく国際標準に近づいたが、私立高校の授業料は「助成」という形で完全には無償化されないので、27番目の無償化国にはなれない。
公立高については、国が学校を運営する都道府県などに直接、授業料相当分(生徒1人当たり年約12万円)を交付。各家庭からの授業料徴収はなくなるが、特別な場合を除き申請などは不要だ。ただし、一切の負担なく通学できるようになると誤解してはいけない。無償化の対象は授業料のみで、PTA会費や教材費など授業料以外の学校納付金は残る。日本高等学校教職員組合の09年度の調査によれば、入学初年度の授業料を除く公立の学校納付金は11万8832円(全日制平均)。こうした納付金を払わないと、授業料滞納と同じ扱いになる。
一方、私立の場合も高校に助成金が直接入るが、授業料を減額してもらうには保護者側が学校に申請書を提出しなければならない。私立高の授業料は年平均約35万円。今年度からは生徒1人当たり年11万8800円が助成される。さらに年収250万〜350万円未満程度の世帯は、1・5倍にあたる17万8200円、250万円未満程度には2倍の23万7600円を上限に助成される。収入に応じた加算を受けたい人は、所得を証明する書類も必要になる。文部科学省では、4月分の授業料から助成額を引き、減額した授業料を徴収してほしいと呼びかけている。しかし、授業料を当初から減額して徴収するか、いったん全額徴収して手続き終了後に還付するかの判断は、各校に任されている・・また別な資料では、この政策には3933億円の予算がついている。
総論として、安心して勉強できる社会作りを目指すことに多くの人は、賛同すると思うし、私も大いに賛成したい。公明党も3年後議論をもう一度することを約束させ賛成をしている。
まず、今現在の高校生の取り巻く状況を平成16年度の文科省の資料の高校中途退学者について・・で確認したい。
高等学校中途退学等 (1)中途退学  公・私立高等学校における中途退学者数(中退者数)は合計77,897人〔前年度81,799人〕で,年度当初の在籍者数に占める割合(中退率)は,2.1パーセント〔前年度2.2パーセント〕である。
中退者数を公・私別にみると,公立では53,261人(中退率2パーセント),私立では24,636人(中退率2.3パーセント)である。
中退事由については,「学校生活・学業不適応」が38.4パーセントで最も多く,次いで「進路変更」が34.3パーセント,「学業不振」が6.5パーセントの順となっている。「学校生活・学業不適応」の内訳は,「もともと高校生活に熱意がない」の割合が高い。「進路変更」の内訳は,「就職を希望」や「別の高校への入学を希望」の割合が高い。また、中退率を学年別にみると,第1学年での中退率が3.5パーセントで最も高く,以下,第2学年2パーセント,第3学年0.6パーセントと続いている。また,中退者数全体のうち,1年生が占める割合は52.3パーセントであり,以下,2年生29.2パーセント,3年生9.2パーセントであるとされている。
この資料においては、親の経済的困窮によるデータは表示されてはいないが、経済状況による学業断念は、多くなっているといわれる。中央公論の5月号には、横田由美子さんの記事の中で高校生が直面する「卒業クライシス」にこの制度(高校無償化)からもれている子どもたちがいるのも事実だ。たとえば今春卒業の生徒たちには無償化制度はあてはまらない。中でも定時制高校の生徒には、残り数ヶ月の授業料が払えなくて退学を余儀なくされているという状況が生じていた。そのため厚労省は「高校生の授業料滞納に係る生活福祉資金(教育支援金)の取扱について」という通知を全国の自治体に配布し、やむをえない事情で授業料を滞納してる生徒に限り、過去にさかのぼって支援を受けられることにした・・これも。年越し派遣村村長を務めた湯浅氏が動いて出来たものという。この記事の中で湯浅氏は、「新卒だって大変なことになっているのに、高校中退となると、正式学歴が中卒になってしまう。毎年おきているこてですが、彼らに対して具体的なサポートはなかった。特に定時制高校は経済的な家庭が急増していることで、進学者が増加しています・・公立の倍率が高くなっている。特に地方では特にその傾向が顕著です。お金がなくて私立という選択肢がなければ、定時制にいくしかないのは自然のこと」といわれている。
このような社会状況などを考えるとこの無償化は、必然であるとも思う。がしかし、この記事の中でも地方自治体での対応で県によっては高校生に対する予算を減額したり、逆にこの制度に上乗せした予算をつけ所得の低い人にも教育機会を均等与えられるべきと支援するところも出たこのように地方ごとの均衡をどうするのかとの問題。また、大きく報道された「朝鮮学校除外」の問題(朝鮮総連は不当な民族差別だとし、ジュネーブの国連施設での人権差別撤廃委員会の会合でも俎上にのぼった・・簡単な問題ではない・・)や、高校中退者を含めた7万人の子どもたちには、その制度には全く恩恵がなく不登校や心の病などの問題を抱えたフリースクールなどの問題など、「本当に救うべき存在」が見捨てられていると状況もある。
この横田由美子さんの記事では、最後に、民主党の政策すべてに共通していることだが、彼らが掲げる理念に反対する国民はほとんどいないだろう。しかし、この半年でわかったことは、理念を導く工程表が非常に大雑把なものであったということだ・・・理念と現実のギャップを埋めて、一番救われなくてはならない対象はどこなのかという優先順位を明確に出来ない限り、民主党の掲げる<新しい時代を創る>教育の実現など水疱に帰すだろう。・・と結ばれている。
民主党の様々な問題で支持率が大きく低迷してきている。日教組はじめ教育票。教育世代の票をと考えて、この大きなバラマキをしたのではという声もあるもたしかである。選挙目当ての政策に終わるならこの高校無償化も本当に水泡に帰すと思う。いま、高校生をまた、高校生を持つ家庭を取り巻く状況は苦しくなっているのたしかである。本当にこの制度をよくするには、その苦しみの声に耳を傾け、政治に反映する勢力の台頭が必要である。komeiチーム3000の一人として現場の声をしっかりつなげていきたい。そして、高校無償化をほんとに良い制度にしていくこと、これを考えていきたい。