社会状況とうつと・・・

 以前、精神障がい者授産施設の立ち上げのお手伝いをしたことがあった。いまその施設の理事長になっている方から多くの精神障がいの方の事例を教えていただいた。しかし、その理事長さんはそういう人の状態を分かってあげれば、分かって接すれば社会に出られる人はいる。だからこれをやりたいと語っていただいたことを思い返した。

 公明党は今「新しい福祉」を提案している。そのひとつが“うつ”などの心の病の問題。これは、12年連続で3万人を超えた自殺者の原因のひとつとされている。
 反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんの云う「セーフティネットがなく、失業などで一度転落したら、どこまでも転落する・・滑り台社会」との分析。作家の五木寛之さんと精神科医で良くテレビにもでている香山リカさん共著の「鬱の力」でも、現代は、うつの時代。との時代的な考察もあるようだ。こういった社会的、生活環境的かつ、時代要因を把握しつつこの問題について考えたい。
 まず、厚労省の統計ではうつ病患者は100万人を超え、推計では250万人としている。これは、人口比1%を超える。また、このデータでは、この10年で2.4倍を超えている。すごい伸び率であり自殺者数の増大にも符合していると思う。

 では、前出の湯浅誠さんの分析で、社会情勢は、一度転落したらどこまでも・・との話。
 太田市においても、これは私が実際にたずさわった事例だが、一昨年の暮れリーマンショック後の派遣切りで、一夜にして住むところもなく、お金もなくとうい青年と出会った。彼とは、朝からハローワークや市役所を1日中駆けずり回ったがなんの解決策もなく途方にくれたあげくに、あるNPOをされている方の事務所に仮住まいさせていただいきことなきを得たことがあった。こういった場面では、というより想定していないことに関しては、ハローワークも市役所もなにひとつできないことがよくわかったし、セーフティネットは万全ではない。この状況は、なにごとも規則や規定などで動く行政の弱点でもある。まず、セーフティネットという考えからするとまたも同じようなことが起きた場合の対応策はあるべきと思う。(けっして太田市だけがとういことでなく地方都市においても対応できるようにすべきとのこと)

 次にそこまでの状況にはたとえば家族が身近にいるとか、親身になって面倒見てくれる人がいるならば、社会的なセーフティネットで大げさな施策はいらなくなるということ。また、さきほどの青年をだしてもうしわけないが、彼はその後すぐに母親から送られたお金でパチンコをする。それも世話になっているNPOの方にも私にも内緒でだ。その時、怒りも感じた。しかし、そこまで彼は追い詰められていたのもたしかである。この人と接することもなく生きるいや生きれる社会で孤立しおる意味落ちていくそういう状況であったわけだ。(彼の為に付け加えるとその後彼は、帰郷し次の都市の夏私になんとかやっていますと連絡をくれている。今は元気にやっていることを報告しておく)

 関係ないような話を書いてきたが、私はここに現代にいきる人たちの姿を見る思いがするからだ、核家族化・競争の社会の中での薄くなってしまった人間関係・・さまざまな要因を克服するのは、実はもう一度家族の大切さや温かな友達などとの付き合いにあると思う。うつの話からだいぶ脱線してしまったようだが、そういたことが大事なのではないだろうか?行政でも地域コミュニティの重要性を今訴えている。あたたかな社会の創造は難事なのかもしれない。しかし、それが希望の源なのかもしれないと思う。もう一度最初の施設長の声が今でも、のこっている。分かってあげれば、分かって接すれば社会にまた出ていける。さまざまな取り組みはこれからも必要。しかし、人間を分かってあげられる議員でありたい。